Paragon Studio閉鎖

最近ネットゲーにすっかり疎くなっていたので、公式発表から三か月も経って知ったのですが、City of Heroes開発元のParagon Studioが閉鎖になったのですね。
今のところ、ゲームサーバ自体は生きていますが、遠からずワールド自体が閉じられることになるのでしょう。

これまで継続的にプレイしてきたMMO(Everquest, City of Heroes, World of Warcraft)のうち、ワールド自体が閉じられるサービスは初になります。

どのゲームもプレイしなくなって久しく、サービスが終了しても何も関係ないはずなのですが、あの見慣れた風景が永遠に失われてしまうのかと思うと感慨深いものがあります。
3DのMMO内の風景というものは脳内で現実の体験と区別がつかないくらいリアリティをもった形で記憶されるようで、いまだにEverQuestでNorth Karanaの平原を走っていた記憶が、まるで実体験のように思い出されたりします。

このまま80歳くらいになると、ゲーム内体験が実際の記憶とゴチャ混ぜになり、自分の孫に、

オジイチャンはな、Felwith出身のハイエルフ エンチャンターで、何十人もの仲間たちとNorrathに巣食う竜を退治したもんじゃ
とか、
ワシはParagon Cityでは有名なイリュージョニストで仲間のスーパーヒーロー達と一緒にNemesisを倒したものだ

などと自慢するあぶない老人になりそうで怖いです。
でも本当に、ゲーム内の記憶って、時間が経てばたつほど、やばいくらい実体験に近く感じるんですよ。きっと3Dな上に移動に制限がなく、自分が動作を完全にコントロールできるところが脳にとっては現実に近い形で記憶されるのでしょう(特にEverQuestは一人称視点なので危険)

さて、そんなリアルな追憶の一部であるCity of Heroesですが、ファンタジー系MMOでどんどん敵が強さのインフレーションを起こし(ひと呼んで、”ドラゴンボール現象”)、数十人のメンバーが数時間準備をし、緻密な役割分担で大ボスを二十分も三十分もかけて倒す というわけわからん状態になっていたときに彗星のように現れた、良い意味でも悪い意味でもアメリカンなゲームでした。

基本コンセプトは、スーパーヒーローになって悪漢を倒す というシンプルなもので、これまで何人がかりかで何分もかかって敵を倒していた他のMMOと違い、一般市民を複数の悪党がいたぶっているところにスーパーヒーローが現れ、一撃で敵なぎ倒す というプレイスタイルになっています。
また、体型やコスチュームがものすごく細部にいたるまで自分でカスタマイズできるのが特徴で、キャプテンアメリカやアイアンマン、スーパーマンから超人ハルク仮面ライダーまでありとあらゆるキャラクターが作成可能です。
能力も、嵐や重力を操ったり、棘を飛ばしたり、手や目からビームを出したりとやりたい放題で、おかげでMarvell社から訴えられるというトラブルもありました。

ファンタジー系MMOが、経験値稼ぎにやたらと効率性を重視するマシンのようなプレイヤーや、アイテムが欲しいあまりむちゃくちゃな行動をするプレイヤーでわりと人間関係がギスギスしがちな側面があったのに比べて、City of Heroesはアイテムの概念がなかったこともあり、プレイそのものを楽しみ、かつ変態的なプレイヤーがたくさんおり、非常に個性的な方々と知り合えました。

そんな楽しかったCity of Heroesもサービス終了はもはや秒読み段階。まだフリーミアムのゲームとしてサービスは続いておりますので、ご興味のおありの方はプレイしてみてはいかがでしょうか?
型にハマったゲームや作業プレイは好かぬ!というクリエイティビティ溢れる方にはとくにオススメです。

最後に、ありがとう、Paragon City!
老人になったら、オジイチャンは目からNeutron Beamが出るんだと主張して孫やひ孫を困らせてやりますよ。